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瞑想用のアンビエント音楽を作ってみて気付いたこと

以前、宮古島旅行で体験したヤギヨガの心地よさをイメージして、『宮古島シャヴァーサナ』という瞑想用のアンビエント音楽を制作しました。

普段はメタルコアやラウドロックのような激しい音楽を作ることが多いので、こういった“リラックスするための音楽”をしっかり作ったのは今回が初めてでした。

実際に制作してみると、普段の楽曲制作とはかなり感覚が違っていて、色々な気付きがありました。

普段バンドで制作しているメタルコアというジャンルでは、ブレイクダウンパートが大きな特徴のひとつです。

曲の中でBPMや音域、リズムの重心を一気に変化させ、聴き手に強いインパクトを与えながら展開を作っていきます。

一方で、今回制作したアンビエント音楽はその真逆でした。

メロディや展開を強く意識させず、できるだけ無意識のまま聴けること。
空気のように自然と空間へ溶け込むこと。

普段とはまったく違う方向性の音楽だからこそ、新鮮な発見が沢山ありました。

普段やっているバンドの曲がこちら

① 足すより引く方が難しい

普段のバンド楽曲では、通常のバンド編成に加えてシンセサイザーやサウンドエフェクトなども重ねながら、音数で世界観や展開を作っていくことが多いです。

一方で、今回制作した瞑想音楽では、音を足せば足すほど情報量が増え、意識が曲そのものへ向いてしまう感覚がありました。

そのため、「どれだけ少ない要素で空気感や情景を表現できるか」がとても重要で、普段とは真逆の難しさを感じました。

必要最低限まで削る作業は想像以上に難しく、同時にとても新鮮でした。

② “集中させない音楽”

普段制作している音楽では、リスナーの耳を引き付けることを強く意識しています。

定番のコード進行で安心感を作ったり、逆にそれを裏切ることでフックを生み出したりと、様々な手法で飽きさせないよう工夫しています。

しかし、瞑想用のアンビエントではその考え方がまったく逆でした。

曲そのものに集中させるのではなく、“意識せず自然に聴けること”が重要だったからです。

そこで今回の制作では、普段あまり行わないアプローチを取り入れました。

それが、「規則正しいリズムを使わない」ということです。

一定のリズムで音が鳴ると、人は無意識に次のタイミングを予測し始めます。
すると、自然と意識が音楽へ向いてしまいます。

そのため今回は、小節のグリッドをあえて無視しながらランダムに音を配置することで、“音楽を追わせない”感覚を意識して制作しました。

③ 環境音の力

今回の制作で特に面白かったのが、ヤギの鳴き声の存在です。

実際に宮古島で録音したヤギの鳴き声を使用したのですが、不規則に聴こえてくるその声には不思議な癒し効果があり、同時にリズムへ自然な揺らぎを与えてくれました。

これは、先ほど書いた「グリッドに沿わずランダムに音を配置する」という考え方を、より自然な形で補強してくれていたように感じます。

また、波音や動物の鳴き声といった環境音は、人間が“楽器”として認識しにくい音でもあります。

そのため、音楽的な情報量を過剰に増やすことなく、空気感や情景だけを自然に加えることができました。

環境音だけで、ここまで空間の温度や景色が変わることには、自分でもかなり驚かされました。

④ 使用した音について

今回の楽曲では、普段のバンド楽曲ではあまり使わないような楽器や環境音を多く取り入れました。

少ない音数の中で、それぞれの音がどんな役割を持っているのかを紹介していきます。


ヤギの鳴き声

宮古島のヤギヨガ体験に強く感銘を受けたので、絶対に取り入れたかったのがこのヤギの鳴き声です。

実際に宮古島で録音した音を使用していて、不規則に聴こえる鳴き声がリズムに自然な揺らぎを与えてくれました。

時折入るセミの鳴き声も、ホワイトノイズのような役割を果たしていて、とても良い空気感を作ってくれています。


オーシャンドラム

宮古島でもうひとつ外せないのが、美しい海です。

波音には環境音素材ではなく、「オーシャンドラム」という楽器の音源を使用しました。

リアルタイムで打ち込みを行うことで、一定すぎない自然なタイミングや強弱を表現しています。


シンセパッド

曲中でずっと鳴り続けているシンセサイザーです。

瞑想音楽では、この“鳴り続けている音”が非常に重要だと感じていて、アンビエント系のサンプル音源の中から特に気に入ったものを選び、ループさせています。

一定の音で頭の中がゆっくり満たされていく感覚は、アンビエント音楽の心地よさのひとつだと思っているので、この音選びにはかなり悩みました。


ベース

「ドォーーーン」という深く低い音を、Serumで鳴らしています。

低音には安心感や落ち着きを与える効果がありますが、常に鳴り続けていると逆に聴き疲れしてしまうため、必要な場面だけ入れるようにしました。

海に潜っている時、遠くからぼんやり響いてくる音のようなイメージで作っています。


ベル

曲の後半では、ヨガのセッションなどでも使われるチベッタンベルを鳴らしています。

ヤギヨガ体験の時、深くリラックスした状態でこの「リーン」という音が鳴った瞬間、意識がさらに深く沈んでいくような感覚がありました。

その感覚を再現したかったので、曲に耳が慣れ、無意識で聴ける状態になっているであろう5分付近からベルを入れています。


ビブラフォン

メロディを担当している音です。

本当はヒーリングミュージックでよく使われるタングドラムのような音色を探していたのですが、手持ちにちょうど良い音源がなく、代わりに見つけたのがビブラフォンでした。

丸みがあり、余韻の長い音色が今回のイメージにかなり近く、深めのリバーブをかけることで、より幻想的な空気感を作っています。

まとめ

普段制作しているメタルコアとは真逆とも言える方向性の音楽でしたが、今回の制作を通して、「音楽は主張するだけのものではない」ということを改めて感じました。

感情を激しく揺さぶる音楽もあれば、生活や呼吸に静かに寄り添う音楽もある。

今回作った『宮古島シャヴァーサナ』は、聴き手を盛り上げるための音楽というより、空気や景色の一部になるような感覚を目指した楽曲です。

寝る前や作業中、ぼーっとしたい時など、日常のどこかで自然と流してもらえたら嬉しいです。

これからも、旅や日常の中で心地よいと感じた空気を、こういった形で音楽にしていけたらと思います。

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